05.18.03:10
[PR]
08.07.10:24
H20論述SS
H20小論文
(著者は2008年の設定)
(論点)2007年6月、ドイツ・ハイリゲンダムにて開催されたG8サミットの議長総括にて、世界の二酸化炭素排出量を2050年までに少なくとも半減させると決定した。
この数値目標について自身の考えるところを1200字以内で述べよ。
世界規模の気候変動は、既に顕著な形で現れ始めている。これの原因はIPCCの報告によると、人為的に排出された化石燃料によるCO2を始めとした温室効果ガスによるものという認識がほぼ確実になっている。
温室効果ガスによってもたらされる地球温暖化は、全世界に渡り将来的に甚大な被害を及ぼすものと推定されている。
まず、海水面の上昇である。すでに、世界各地で報道されているが、このままであれば、数十億人の生活に影響を与えることになる。また、海水温が局地的に著しく上昇する地域などにおいて海流が変化し、深層大循環に乱れが生じ、大規模な気候変動を及ぼす可能性もある。次に、干ばつや洪水が世界規模で多発し、それに伴って生態系に多大な被害を与えるであろうと予測されている。また、この影響により、食料供給が不安定になり、各地で紛争状態になることも懸念されている。
このように、気候変動は我々人類にとっての新たな脅威であることを強く認識しなければならない。我々の将来の安全保障は、CO2排出量をいかに削減していくかにかかっているといっても過言ではないであろう。
しかしながら、世界各国が共通の認識を持ち、行動を始めるかというと、決してそうではない。現実問題として、先進国と途上国の立場の違いが明らかである。先進国は世界が一致して一定の削減義務を果たさなければならないと主張しているが、一方途上国は温暖化の責任は先進国にあるとし、先進国がより多くの削減を実施すべきだ、という姿勢であり、両者の意見を取りまとめることがいかに困難かは、未だに途上国に対して具体的な削減義務が課されていないのを見れば明らかである。
産業革命以降、化石燃料を大量に消費し、温室効果を大量に排出してきたのは確かに先進国であり、その責任を明確化しなければならないのは尤もである。しかしながら、今回の脅威は全世界に渡るものであり、故に一部の国のみが取り組むのではなく、全世界が協力して対応しなければ、具体的な効果は見込めないものである。従って、先進国と途上国、またはその国の実情に応じた柔軟的な枠組みのもとに全世界が一致して2050年までにCO2排出量を半減するシナリオを構築していかなければならないのである。
具体的な数値目標について考える。世界全体でCO2排出量半減は、科学的にも実践的にも目安の数値であると思われる。問題は、如何にしてこの目標を達成するかである。
まずは、排出総量規制という枠組みではなく、排出量原単位規制に切り替えることが必要である。これにより、原理的に経済発展を阻害することはなくなるので、途上国にとっても受け入れやすい条件であると思われる。次に、先進国と途上国、または各国の実情に応じた差異ある枠組みを、国連に加盟しているすべての国に課すことである。そして、段階的に削減度を具体的に評価する国際機関を設立することである。
我々は脅威に一致して立ち向かわなければならない。(1200字)
- トラックバックURLはこちら