05.18.13:47
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08.03.11:30
H14論述SS
H14小論文SS
(著者は2002年の設定)
(論点)近年環境保護の名のもとに、遠隔地の昆虫を飼育し、身近な環境に放出することが英雄的に報じられているが、一方では、これらが生態系に及ぼす負の影響が危惧されている。
このような状況を鑑みて、環境と調和した地球作りをするためには、今後我々人類はどうするべきか。論ぜよ(800字以内)。
我々は、科学技術を用いた文明生活の発展により、自然界の頂点に君臨する種となったが、自然界を調律する神ではない。我々にできることはせいぜい、科学的に検証された事象に則り、それを履修する形で自然を修復することである。従って、十分な検証なしで、各人が環境保護の名のもとに思うがままの行動を取っては、それが善意であるにもかかわらず、壊滅的な打撃を自然界に与えかねないというリスクを我々は認識していなければならないのである。
自然界は大変複雑なメカニズムによって成り立っている。これを構成する要素は多岐におよび、プランクトンから大気循環までの広大なスケールである。特に、昆虫などは食物連鎖の基幹を成すものであり、これが一度崩れてしまうと、その上位に位置する獣類や鳥類などの食性が変化し、悪ければ絶滅の危機に瀕してしまう。そして、結果的にその地域の固有の生態系の崩壊を招く。一度壊れた生態系は、その機能を取り戻すまで、多くの期間を要するが、悪ければ二度と戻らないものもある。
我々は有史以来、自然環境から食物や資源などの多くのもの摂取し続けてきた。その過程で我々は多くの生態系を破壊し自然を食いつぶしてきた。そしていまや、それらの集積した脅威が地球規模で我々に襲いかかろうとしている。
我が国は、古来より『和』を重んじる文化が数多く存在していた。我々が学ぶべきはここにあると思う。自然を征服するのではなく、それと調和する。すなわち、我々が摂取した分を、自然界に還元させるシステムを構築するべきなのである。また、我々が人為的に生み出した化学物質などは、我々人間界のみで循環させ、決して自然界に放出しない確固たる枠組みが必要である。当然、温室効果ガスもそれの最たる対象である。
我々が成すべきことは、自然環境の調和を乱す元凶を世界が一致して指摘し、それを最小限に抑える枠組み作りと弛みない努力であると信ずる。
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