05.18.17:13
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07.29.23:14
H21論述
H21小論文
(論点)食料の安定供給・確保の点から食料自給率が話題に上がるが、自身が考える日本の食糧輸入に関わる問題点を挙げ、それを解決するための方策について考えるところを1200字以内で述べよ。
日本の食料自給率は40%と諸先進国に比べてかなり低い。これは主要先進国の中で最低の水準である。また、日本は年間約6000万トンもの食料を輸入しているが、その量はアメリカをも上回割る。加えて、それらの平均輸送距離はおよそ16000万kmでこれまた世界最長である。EU諸国やアメリカはこの距離がせいぜい3000~6000kmであるのに比較したら断然大きいことがわかる。これらのデータからわかる日本の食糧輸入に関わる問題点は、輸入量が多すぎるということと、遠隔地からの輸入に依存しすぎているということである。
このことを別な観点から指摘すると、自分たちの畑では何も作らず、人の土地から高いお金を支払い、大量のCO2を排出して食料を調達しているという事実が浮き彫りとなる。
日本は戦後、食料自給率は1960年代の70%をピークに、その後低下の一途を辿っている。その原因は多々考えられるが、最大の原因は、日本人の食生活が大きく変化したことが挙げられるであろう。高度経済成長に比例するかのような形で外食産業が台頭し、主食が米からパンへと移行し、肉類や脂肪類が大量に消費されるようになった。それまで、日本は主食であった米や野菜の自給率は100%近くを推移してきたものの、小麦類や肉類は耕地面積および畜産規模の関係上、輸入に依存せざるを得なくなっていった。加えて1980年代のアメリカの圧力に屈し、オレンジや肉類の輸入自由化に踏み切ったことなどもあり、日本の一次産業界は大きな被害を受け、一次産業従事者はみるみる減少し、今や就業人口は300万人を割り込み、しかもその半数が65歳以上の高齢者である。これは単に食料自給率の低下を招いているだけでなく、地方の過疎化に一層の拍車をかけ、自治体の運営を大変厳しくしている原因でもある。よって、今日の自給率の脆弱化を招いた原因は、我々自身の食生活にあると言える。
日本は世界有数の経済大国となり、飽食の時代と言われて久しい。我々は今や、飢えの概念すらなく、24時間いつでもどこでも食料を手にいれ、大量のエネルギーが注入され、大量のCO2が排出された食糧製品を日々摂取している。
我々は今一度、日々口にしている食品のルーツについて考え、それについてどうあるべきかを議論する段階に入っていると思う。世界の富を総人口わずか1割に満たない先進諸国が独占してきた経緯がある。食料も同じことが言えよう。
具体的な方策を述べる。まず、第一に農畜水産業の活性化を促進すべきである。放棄耕地を再開発し、米および野菜等の自給率を100%以上の水準に引き上げる。これにより、大規模な雇用を確保する。次に国民運動として、地産地消プロジェクトを促進することである。すでに一部地域では実施されているが、これはフードマイレージが小さく、食に対しての国民的理解が深まる。そして、食糧戦略に係る外交努力である。
日本が世界に対して提言する食の在り方は今後の世界にとって重要な価値をもたらすと思われる。
(1198字)
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