05.18.15:02
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07.27.23:41
H20論述
H20小論文
(著者は2008年の設定)
(論点)2007年6月、ドイツ・ハイリゲンダムにて開催されたG8サミットの議長総括にて、世界の二酸化炭素排出量を2050年までに少なくとも半減させると決定した。
この数値目標について自身の考えるところを1200字以内で述べなさい。
(IPCCは2007年に第四次報告書において、地球温暖化は人為的活動によって引き起こされていると指摘した。この報告の指摘が正しいのもとして私見を述べる。)
産業革命以降、各国は民主化を経て世界的に資本主義社会が興隆し、我々の生産性および生活の質はそれ以前の封建社会から飛躍的に増大した。これらの一連の革命は我々人類が長い歴史の中で培ってきた教訓をもとに紡ぎだし選択した未来であり、今の我々の生活が、これらの先人の血と汗の弛まぬ、自由を求める旅路の末に得た社会により享受されているのは紛れもない事実である。我々は今の生活に不満は感じるものの、不便を感じることはほとんどなくなっているように思う。我々人間はもともと怠惰な性向を兼ね備えており、ともすればすべて楽なものへと、心地よさを求めるもの、不満を解消するものに惹かれてしまう。これは我々自身の特質であり、逆らうことは原理的に相当の苦痛を伴う。それゆえに、我々は自身の欲求を充足するために、資本主義体制のもとに、科学技術を駆使して自然を加工し、自然を搾取し、我々の欲求を満たすものを作り、それを売りさばくことで今日の日まで存続してきた。しかしながら、いつの日か我々の欲望の限界、我々の経済活動は、地球の許容範囲を超えるほどにまで拡大してしまったのである。我々は、自身の活動が地球にどの程度負荷をかけているかを具体的に検証するパラメータとして、自然界の中で大きく循環しており、地球上のあらゆる有機生命体に含まれている炭素を引き合いに出し、現状がどれほどのものなのかを割り出す術を経た。その結果はじき出された結果が、2050年までに何らかの手段を講じなければ、平均気温の上昇に伴う気候変動により、地球の生態系に甚大な被害を及ぼす、との警告であった。もちろん、自然界の頂点に君臨する我々も例外ではない。
我々が今行わなければならない仕事は、狂った炭素循環を修正することである。その補正量を図るためにも、CO2削減の数値目標は大変有効であると思われる。ただ、どの程度の補正が必要なのか、どの程度削減すればよいのかということを、正確にシュミレーションし、その結果危機はどの程度回避できるのかを、国連は世界に提示していく必要性がある。そして、世界中の人々がその事実を正しく認識し、それに則った正しき行動を取ってゆくように、各国政府は国民に働き掛けていかなければならない。
世界全体で50%削減という数値目標は、現状のリスクを半減させる、という意味ではインパクトのある数字である。しかしながら、これは綿密なシミュレーションに基づいたものとは言い難い。世界の8割は途上国である。現状では、この数値を達成するのは事実上不可能であると思われる。
数値目標はいわば、我々が健全な将来を迎えるための確率とでも解釈できる。従って、責任の果たせぬ目標を掲げることはできない。十分な議論の末に確立された目標であれば、我々はそれの達成に向けて、再び立ち上がらなければならない。
我々は今一度、英知を結集し、自身の将来を掛けて戦わねばならない段階にあるのである。
(1200字)
07.25.21:42
H18論述
H18小論文
(論点)情報通信技術の発展により、生産・流通・消費の効率が向上しただけでなく、人々のライフスタイルや価値観も変化してきている。しかしその一方で情報通信機器が消費する資源やエネルギーが増加してきており、環境に与える影響も少なくない。
こうような状況の下、情報通信技術の進展と普及のメリットを最大限に生かしつつ、エネルギー消費や環境に与える悪影響を最小限にするためにはどのような方策を講じるべきか。論ぜよ(800字)。
情報革命により、今や世界の情報が瞬時に手に入る時代である。我々は、自身に関連する情報を要求する。それには様々なものがあろうが、最たる情報は衣食住に関連するものであろう。世界中目まぐるしく錯綜するこれらの情報を一つのネットワークに統一し、その中から自身の必要とする情報のみを引き出すインターネットは、確かに画期的な発明である。我々はこれらを使用することで、仕事の上では絶えず変化する市場の状況をタイムリーで把握し、それに伴う生産や流通量を見極め、ビジネスを展開することができる。また、ネットワーク上で会議を行たり、出張する際も最短経路、それにかかるコスト、また排出するCO2の量まで計測してくれるので、大変効率的な経費およびエネルギー消費を抑えることができる。プライベートの面では、ほしい商品に対して、その情報をインターネットに接続された端末で調べることで、瞬時にどこで最も安く販売されているかが分かり、出かけることができなければ、それを瞬時に購入することも可能である。
このように、我々は情報通信技術の普及により、より効率的な生産活動、消費活動が行えるようになってきている。しかしながら、一方でこれらに係るエネルギーが膨大になってきているのも事実である。ある試算によれば、2020年ごろには、これらのネットワークサーバーが消費するエネルギー量は我が国で消費するそれの実に20%を占める可能性もあるという。
現在は情報通信技術無しには成り立たない。これらはシステムの効率化・高効率化に大いに寄与し、そのことによって全体的にエネルギー消費の高効率化を図ることができる。しかしながら、今まで我々が培ってきた全てを、これに任してはならないのである。すなわち、我々自身で賄えることは、我々人の手で行っていくことも重要なことであると思う。
情報通信技術とのかかわり方は、今後の我々の課題の一つであろう。
(786字)
07.23.23:24
H17 論述
H17小論文
(論点)いまや60億以上の人類は、差異はあるもののエネルギーを消費し、科学技術を発展させ生活の向上を図ってきた。すなわち、この対価として我々は環境を破壊してきたと言える。また、化石・原子力・再生可能のいずれにおいても、環境に影響を与えないエネルギー源は存在しない。
これらの認識に立ち環境保護と生活レベルの向上の観点から、エネルギー利用において科学技術が果たせる役割及び我々が果たすべき役割について論述せよ(800字以内)。
我々は何かを得ようと欲する時、何かしらの形でその対価を支払わなければならない。それは、労働であり、貨幣であり、エネルギーである。長い人類の歴史の中で、我々が近代的な生産方法と生活の形式を身に付け始めてからわずか2世紀半の間に、我々はその強欲故に、莫大な対価を払わなければならない状況に陥っている。それが現状の環境問題であり、エネルギー問題である。
人間は自然界に対し、そこにある資源を搾取し、それを都合の良いものに形を変え、それを道具として使って生きている。これは有史以来の変わらぬ理である。従って、原理的に環境に対して影響を与えないことは不可能である。問題は、如何にしてその負荷を最小限にしつつ生活を営んでゆける方法を見出すかということである。その方法を探求するためのツールが、科学技術である。我々は科学技術に、あるいは社会システムに支配されるのではなく、これらをうまく使いこなす技量が今の時代求められている。
科学技術は我々の常識と限界を超える発見をいくつも為してきた。近年はその速度はいよいよ目覚ましく、かたや生命の起源や宇宙創成の謎をも解き明かそうとしている。問題はこれらを扱う我々が、これらの技術をどのようにして有効なエネルギー源として利用するべきかということを国際的に議論し、本当の意味での共生と持続可能性について、その在り方を定義していかなければならない。これまでは、資本主義の名のもとに、どれほど環境を破壊しようと問題はなかった。しかし、今や時代は変わりつつある。地球は有限である。我々が今後も長きに渡って繁栄し続けるには、ある制約のもとに生活を営んでいかなければならない。
我々は生活レベルの向上と、環境破壊とのジレンマを断ち切る新たな目標を世界市民一丸となって打ち立てなければならない。その目標を指し示す役割が我々の知的生産活動であり、その目標を達成する手段が科学技術である。
(795字)
07.22.23:27
H16 論述2
H16小論文 Part2
日本のエネルギー安定供給性を高めるための方策として、以下の二つの方策があるとする。
①化石燃料や原子力エネルギーなど従来型エネルギーの利用効率向上のための技術開発の促進
②再生可能エネルギーの利用技術開発の促進
②の立場であると仮定して、その論旨を述べよ(800字以内)。
地球上に存在するあらゆる自然システムの駆動力は、太陽エネルギーである。この地球上には太陽からの莫大なエネルギーが注がれているのにも関わらず我々はそのごく一部しか利用できていない。ポテンシャル的には、太陽から地球半球面に1時間降り注ぐエネルギーで我々人類が一年間で消費するエネルギーを賄えるという。従って、この無尽蔵とも言える豊富な再生可能エネルギーは、十分に開発の余地があると言える。
しかしながら、国内に目を転じてみると水力を含めた再生可能エネルギーの電力供給量に占める割合は1割にも満たないのが現状である。現在開発の主力となっているものは、風力、太陽光を筆頭にバイオマス、地熱、潮力等が挙げられる。しかしながら、これらは共通にして自然が相手であるので、出力変動やメンテナンス等、安定供給性に問題があり、それが開発および普及策においてネックとなっている面がある。
風力発電においては、効率の良い翼の形状や送電線整備等の問題も含めて研究開発が進められているが、将来的に地方の雇用などの経済効果を見込み、現状以上の積極的な投資を行っていくべきである。太陽光発電は今後発電効率向上の技術開発はもとより、国内の様々な施設へと設置を推進していく多角的なビジネスも展開していくべきである。バイオマスは農林業の再興も図れるプロジェクトであり、一体となって有効にバイオマス資源を活用していくべきである。地熱発電は、そのポテンシャルは世界第3位とかなり大きいが、現在の方法では泉源の枯渇懸念や設備維持のコストが高いので、高温岩帯発電などの新技術の開発を積極的に促進していくべきである。潮力は国内での規模は小さくならざるを得ないが、洋上風力発電システムなどと組み合わせれば、大規模な発電が可能である。
日本は環境先進国として、これらの利用技術を早急に確立し、世界をリードしていくべき立場にあることは間違いない
(793字)
07.21.22:19
H16論述
H16小論文 Part1
日本のエネルギー安定供給性を高めるための方策として、以下の二つの方策があるとする。
①化石燃料や原子力エネルギーなど従来型エネルギーの利用効率向上のための技術開発の促進
②再生可能エネルギーの利用技術開発の促進
①の立場であると仮定して、その論旨を述べよ(800字以内)。
日本のエネルギー自給率はわずか4%であり、諸先進国比較しても水準が著しく低く、日本はエネルギー資源のほとんどを輸入に依存しているというのが現状である。それは化石燃料がほとんどを占め、また国内で利用される一次エネルギーのほとんどが化石燃料や原子力エネルギーに基づくものである。
従って、国内の電力使用量のおおよそ9割を供給する化石燃料による火力エネルギーおよび原子力エネルギーの利用効率向上のための技術開発を行っていくことは、極めて重要である。
化石燃料については、石油・石炭・天然ガスに大別されるが、CO2排出量が最も少なく、かつ輸入相手国についての多角化が期待できるのは天然ガスである。将来的にOPEC、ASEAN、ロシアなど多角的な輸入政策を採れば、石油のような中東依存を招くことなく、輸入途絶や価格の大きな変動などのリスクを軽減できるものと思われる。また、石炭火力については、技術的に発電効率が大幅に上昇し、高いエネルギー変換率を達成しており、また、石炭の輸入先もオーストラリアや中国など多角化しているので、一極集中のリスクは低くなっている。従って今後は天然ガス及び石炭発電において、高効率のコジェネレーションシステムなどを採用して利用効率を向上させていくべきである。
原子力については、老朽化した原子炉を順次リプレイスし、点検期間間隔を広げることで、利用効率および出力を向上させていくべきである。また、使用済み燃料の安定的な処分サイクルを国内において早急に確立することも忘れてはならない。また、ウランは有限である。高速増殖炉や高温ガス炉、あるいは核融合炉などの次世代炉の研究開発を積極的に行っていかなければならない。
化石燃料は、次世代原子炉が誕生するまでの橋渡し的な役割を演じ、その後は原子力が基幹エネルギー源になると思われる。ともあれ、化石および原子力が日本のエネルギーを今後も支えていくであろう。
(792字)